真昼の情事−9

2002年12月3日
克也はそれを無視して両脚もロープで椅子に固定しようとする。
足をばたばたさせて俺は抵抗する。

 「いまさら抵抗しても遅いよ。
 今まで経験したことないくらい感じさせてやるから大人しくしな。」

俺はなおも克也を睨み付ける。
素知らぬふうで奴はうそぶく。

 「往生際が悪いんじゃないの。
 何もとって食おうってんじゃないんだからさ。
 気持ちよくさせてやるって云ってんだよ。
 透はさぁ。自分でも気づいてないかもしれないけどMっ気あるんだって。」
「知るかそんなこと。」
吐き捨てるように俺は云った。
モノはいつの間にか萎えている。

 「強がっていられるのも今の内さ。
 時間の問題でチンポから涙流しながら俺にこう云うに決まってる。
 頼むから俺のケツマンコに克也のデカマラ突っ込んでくれって。」

俺は答える代わりに奴をなおも睨み付けた。

真昼の情事−8

2002年12月2日
 「一度やってみたかったことがあるんだ。へへ。」
「ふーん。」
 「さぁ。早く全部服脱いじゃってよ。」
「えぇ。俺だけ?」
 「今俺の言うとおりにするって約束したばっかじゃん。」
「あぁ。そうだったな。はい、言うとおりにします。」

俺は短パンとTシャツ、ビキニのパンツを脱ぎ捨てると全裸になった。
当然、モノはビンビン状態だ。

 「なんだかだ云ってギンギンじゃないの。すけべ。」
「ハハハ。」
俺は少し照れる。

奴は椅子を持ち出すと俺に座るように促す。
俺は促されるままに腰掛ける。
すると克也はどこから持ち出したのか素早く手錠で俺を後ろ手に椅子へ固定した。

「何するんだ。」
少しムッとして克也を睨みつけた。

真昼の情事−7

2002年12月1日
 「これから俺ん家に来ない?たっぷり可愛がってあげるからさ。」
「願ってもないかも。。。」
 「よし決まり。そこに車止めてるから乗ってよ。」
「うん。」

克也はなれた手つきでイグニッションをひねると、駐車場から車を滑り出させる。
しばらく走るととあるマンションの下に車を止めた。

 「俺、こっちの人を部屋に入れるの初めてなんだ。いつもヤリ部屋まで出向くから。」
「そうなんだ。光栄だな。」

そんなことを話しながらエレベーターを降りると続いて部屋に入る。
 
 「どうぞ。遠慮なく。」
「おじゃまします。」
 「今日はさぁ。とびきり感じさせてやるから俺にリードさせてくれない?」

克也は窓のカーテンをひきながら振り向きざまにそう云うと、
いたずらっぽく微笑んだ。

 「えっ?構わないけど。どうせ俺ネコだし。」
「商談成立!」

克也は嬉しそうに軽く飛び跳ねた。

真昼の情事−6

2002年11月30日
奴は少し前をゆったりと歩いている。
そして、角を曲がったところで立ち止まった。
俺が奴の横に並ぶと再び歩きながら奴が初めて微笑んだ。

 「俺、克也っていいます。23歳です。」
「あっ俺は透です。29歳。」
 「さっきはごめんね。大丈夫だった?」
「いや。大丈夫だよ。それよりなんか興奮したよ。」
 「そうなんだ。やっぱりMっ気あるんだ。」
「そう云う訳じゃないけど。。。」
 「でも、俺の琴線にピンとくるものがあったんだよね。」
「えっ?」
 「透さんが俺に組み敷かれてケツ振ってるイメージが突然浮かんだんだ。」
「あはは。」

俺は照れて思わず笑ってごまかした。
 「年上の人にこんなこと云って失礼かもしれないけど透さんってかわいいよね。」
「へ?」

俺は言葉を失う。我ながら6つも年下の奴に押されっぱなしだ。

真昼の情事−5

2002年11月29日
吐き気を催しながら俺は必死に喉の奥で奴を包み込む。

 「かわいいな。おまえ。」

俺は吐き気を我慢しながら上目遣いで奴を見上げた。
奴はお茶目にウィンクする。
そして、またもいきなりマラを引っこ抜くと、
さっさと隣のブースでシャワーを浴びてシャワールームを後にする。

俺は呆気にとられながら急いでシャワーを済ませる。
しかし、モノはギンギンで静まりそうにない。
俺は、テーラー展開の公式を思い浮かべながら必死で欲情を抑え込む。

やっとのことで萎えさせるとバスタオルを腰に巻き、
半立ち状態のモノをごまかしロッカールームへ向かった。
奴はもう既に着替えを終わらせ、隅のベンチでタバコをくゆらせている。

俺は背中に奴の視線を感じながら慌てて着替えを済ませる。
それを見届けたように奴はロッカーを後にした。
俺も少し距離をあけながら奴に続く。
受付のねえちゃんとの挨拶も上の空状態で建物をでる。

真昼の情事−4

2002年11月28日
奴は足下からゆっくりと舐めるように俺を眺めた。
奴のマラはビンビンで、浮き出た血管がいやに生々しい。
思わず俺のモノも反応を始める。

奴は右足を踏み出すと俺の後ろに回り込み、尻の谷間にマラをあてがった。
そして、右手で俺のモノを荒々しくつかむと耳元でささやいた。

 「ケツ貸せよ。兄貴。」

願ってもないことだ。
ここしばらくスケベがなかった俺は、欲望が高まってくるのを感じながら静かに頷いた。

「ああ。犯ってくれ。」

奴は俺の身体をくるりと回すと両手で肩を押さえながら低い声でつぶやく。
 
 「しゃぶれよ。」

俺はシャワーに打たれながら奴のでかいマラを頬張る。
歯をあてないように舌を這わすのがやっとだ。

奴は俺の頭を両手で押さえると、いきなり腰を突きだした。
巨大なマラが喉の奥に突き立てられる。

真昼の情事−3

2002年11月27日
ふと気づくと人の視線を感じた。
辺りを見回すとやはり奴が俺をじっと見ている。
今度は視線をそらさない。
確実って感じ。

なかなかいい身体だし、かわいい顔してるしいいかも。
だが、あいにく俺はネコなのだ。
年下にケツ掘ってくれって云うのもなんだし、どうしたものかなどと考えてしまう。

俺は意味深な視線を奴に送るとロッカーに引き上げた。
奴がこちらに向かってくるのを視野の隅で確認しながら。

バスタオルをロッカーから取り出すと無人のシャワールームへと向かう。
一番奥のブースに入る。
バスタオルを仕切壁に引っ掛けると蛇口をおもいっきりひねる。
冷たい水が火照った身体に心地よい。

ふと気づくと後ろに奴が立っていた。
素っ裸で、それもマラを押っ立てて。
どきっとしながらも奴の視線に俺の視線を絡ませる。

真昼の情事−2

2002年11月26日
さっさと着替えるとプールサイドへ。

「やっぱり早いと空いてるな。」
俺は準備運動を済ませると早速プールへ滑り込む。
軽く流してからプールを見渡すと、対面斜め方向にこちらを眺めている若い奴がいる。
ちらっと目をやると、奴は目をそらした。
気にせずしばらく泳いで顔を上げると、奴がまた俺を見ている。

自意識過剰かなと思いながら、もしかしてなんて考えてみる。
肌に冷たい水を感じながら泳いでいると先程までの暑苦しさがウソのようだ。
お魚になった私って感じか。
この気持ちよさがたまんねぇんだよな。

2km程も泳ぐと水から上がり、俺はプールサイドに横たわる。
ここはセミオープンタイプのプールだから、夏場は天井や壁がオープンになって屋外プール状態だ。
当然太陽は燦々と降り注いでいる。
ジリジリと肌を焼く心地よさを感じながら俺はついうとうとしてしまったようだ。

真昼の情事−1

2002年11月25日
今日も朝から太陽が強烈な日差しを投げかけている。
セミがシャワーのようにわめいている。
「ああ。鬱陶しい。シャツがじっとりと肌にへばりつく。」

俺は軽くシャワーを浴びると、水泳グッズをデイバッグに詰め込む。
チャリを引きずりだすと通い慣れたプールへ向かう。
湿度の高い生暖かい風が頬をさする。
朝の9時だと云うのに不快指数100%って感じだ。

プールのある建物になだれ込むとすっかり馴染みになった受付のねえちゃんに声をかける。
「こんにちは。暑いね。」
 「こんにちは。今日は早いのね。」
「暑苦しくってね。早くから目が覚めたからさ。」
 「たっぷり泳げば暑さなんてふっとぶわよ。」
「そうだな。サンキュー。」

たわいない会話を交わしながら俺はロッカーに向かう。

退屈な日々−8

2002年11月24日
ヤツは大量の子種を床にまき散らし、俺はヤツの中に思いっきりぶちまけた。
 
 「はぁはぁはぁ。」
ヤツが床に突っ伏し、俺はその上に倒れ込んだ。肩で息をする二人。
ヤツのケツはまだビクビクと痙攣している。
俺のマラはケツの中でまだ硬さを失っていない。

「どうやった?」
 「すごいかも。初めてなのに感じちゃった。」
ヤツは頬を染めてキスをねだる。
俺は優しく唇を重ねた。
唇を合わせながら、腰をゆっくりラウンドさせ、ケツの中をこねくり回してやった。

 「あん。また、勃ってきちゃうよ。」
「俺も勃ったままなんだ。抜かずの2発といくか?」
 「あぅ。何かやらしい。。。」
舌と舌を絡め、マラとケツの襞を絡めて快楽を貪る。
当分は、病みつきになりそうだ。
クチュクチュと卑猥な音が部屋に響く。

***

「ねぇ。兄ちゃん。これ見てぇ。
 赤ちゃん生まないように雄もらってきたのに、
 うちのハムスター雄同士で交尾してるよぉ。」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
          第6話 退屈な日々 完

退屈な日々−7

2002年11月23日
ヤツは床に頬を付け、ケツを突き出して快感を味わっているようだ。
 「なんかすごい。一人でするのとは全然違うよぉ。」
「Hは初めてか?」
 「うん。初めて。すごい気持ちいい。」
処女を奪った快感に酔いしれながら腰を振る。

「俺も気持ちいい。絡みつくようや。」
 「あん。恥ずかしい。
 ダメだよ、そんなに扱いたらいっちゃいそうだよ。」
「いけよ。いきたい時にいく方が気持ちいいやろ?」
 「あん。お尻ってすごく気持ちいいんだぁ。
 ほんといきそう。。。」
ヤツは激しく腰を振り、ケツとモノの両方で快感を楽しんでいる。
俺も一緒にいこうと、激しく腰を降り始めた。
クチュクチュといやらしいが可愛らしい音をさせ、ケツの襞が絡みつく。

 「いくよ。いっていい?」
「ああ。俺もいく。中にいっていいか?」
 「あぁぁ。いくいく。きてきて。」
俺は下腹部に精神を集中して、激しい注挿を繰り返す。
ヤツは自分でモノを扱き上げ、最後の瞬間を迎えよ
うとしていた。

 「いく!」
「いくぞ!」
二人は同時に叫んだ。

退屈な日々−6

2002年11月22日
 「うーん。なんか変な気持ち。」
「どういう風に?」
 「気持ちいいかも。動いても大丈夫だよ。」

ヤツのモノは元気を取り戻し、ピクピクと小刻みに振動する。
俺はゆっくり腰を引き、優しく突き出す動きを繰り返した。

 「はん。あん。いいかも。あん。」
初めての割には感度がいい。ヤツは円を描くようにケツを振る。

首をねじ曲げ唇を突き出してくる。
俺は優しくキスをした。
ヤツの柔らかい唇が暖かい、ぬめるような舌が絡みピチャピチャと音がした。
舌を絡めながら腰を前後させる。

 「はん。あん。」
鼻息も荒く、俺の腰使いに応える。
下腹部に手を回すとモノはギンギンだった。
先走りが糸を引き、興奮状態が続いていることを確認すると、
ピストン運動のスピードを上げてみる。

退屈な日々−5

2002年11月21日
舌先をすぼめ、菊門にやさしく突き入れる。
口内にためた唾を少しずつ送り込んでは、十分な湿り気を与えた。

「なぁ。ええやろ?突っ込んでも。」
 「えっ?でも、僕。」
「ここまで来て、もう止まらへん。」
 「こういうのって見たことはあるけど、初めてなんです。」
「痛くないようにやるからさぁ。気持ちよくしてやるよ。」
ヤツは決心したように小さく頷いた。

四つんばいにさせてケツを高く上げさせると、俺のマラを菊門にあてがった。
ヤツはピクンと反応する。
充分に湿り気を与えた菊門にマラの先が埋もれていく。

「痛くないか?」
 「うん。大丈夫みたい。」
ちょっと力を入れて、もう少し入れてみる。
「どう?」
 「うん。ちょっときついみたいだけど、大丈夫かな。」

そうして、時間をかけてゆっくりと挿入した。
「全部入ったぞ。どうや?」
 「少し痛い。しばらく動かないでこのままでいて。」

俺は、腰を動かさないようにしながら、元気がなくなったモノを扱いた。

退屈な日々−4

2002年11月20日
「どうや?気持ちいいやろ?」
亀頭をこねくり回し棹を擦り上げて、耳元で囁く。
 「うん。気持ちいい。」
ヤツは顔を真っ赤にしながらもあふれ出す快感に抵抗できなくなっていく。

俺は前にまわり、ヤツのモノを口に含んだ。
多少しょっぱい気はするが、若い性の青い臭いが鼻をくすぐる。
勃起したモノの周りにある毛が頬にサワサワと心地よい。
 「あぁぁ。いいよぉ。」

歯を立てないように注意しながら、舌と上顎でモノを刺激する。
カリのまわりに舌を絡ませ、ちろちろと舐め上げる。

太股の内側に手を這わせるとヤツは仰け反って、身体を震わせた。
脚を持ち上げ、玉の辺りを責めてみる。
 「はぅ。あん。」

そして、少しずつ下の方へ舌を移動させる。
菊門のまわりは、毛ひとつなく、きれいなピンク色をしている。
太股を高く上げ、ケツを突き出させると、
周辺から中心に向かって、ちろちろと小刻みに震わせながら舌先で舐めた。

その度に面白いほどビクビクと身体が反応する。

退屈な日々−3

2002年11月19日
若い身体は艶やかで、うっすらとかいた汗が肌をなまめかしく光らせている。
思わずゴクリと喉を鳴らしてしまった。
自分自身も少し変化している。

ヤツは、俺の視線の意味を理解したようで、頬を染めてうつむいてしまった。
モジモジと居心地が悪そうだ。

俺は意を決して、ヤツを後ろから抱きしめ首筋に息を吐きかけた。
多感な少年の色気を残すヤツは、
 「はぅ。」
これまた、色っぽい溜息をつく。

たまらず、俺はヤツの首筋に舌を這わせ、耳たぶを軽く囓った。
 「あん。ダメです。」
「ええやろ?我慢できないよ、俺。
 久しぶりなんや。気持ちよくしてやるからさ。」

両脇から差し込んだ手で乳首を刺激する。
 「あん。」
ヤツは身体をよじりながら甘い声を出す。
「ほら。身体はいやがってないやないか。」

下腹部に手を回すと既に大きくなったモノを優しく包み込んだ。
 「はぅ。」

退屈な日々−2

2002年11月18日
そんなある日、俺の部屋に突然の侵入者が現れる。

「なんだ?おまえは。」
 「こんにちは。今日、こちらに越してきたものなんですけど。」
「ふーん。あっそ。
 まぁ上がれよ。俺も暇だし。」
 「いいですか?おじゃましまーす。」

若者らしい図々しさで部屋に上がり込み、日当たりの良い窓辺にちょこんと座った。
座布団などといった気の利いたものはない。

「ミネラルウォーターしかねぇけど。」
俺はそう言って、ミネラルをヤツに押し出した。
窓の外では蝉時雨がうるさいくらいだ。

20歳にも満たない幼い顔に似合わず、身体はそこそこで、筋肉が適度についている。

「何か運動でもしてるのかい?」
 「運動ってほどのこともないんですけ、ジョギングとウェイトトレーニングを。」
「ふーん。前に住んでいたところは広かったのか?」
 「そうですね。ここのアパートよりは広かったですね。
 それに、もう少し設備も整っていたし。」
「そっか。ここのオーナーは若いから、あんまり気が利かないんだよな。」
 「そうみたいですね。」

たわいない会話を続けながら、俺はヤツの身体を舐めるように眺めた。

退屈な日々−1

2002年11月17日
今日も一日が終わろうとしている。
食っちゃ寝、食っちゃ寝の単調な毎日が過ぎていく。
俺にとっては、ただ単調に日々を生きることが仕事だ。

朝起きて顔を洗う、軽く食事をしてゴロゴロ。
目が覚めてきたら室内で軽い運動をする。
ルームランナーがあるので軽く汗を流すのだが、移りゆく季節を楽しめる訳でもなく、
ジョギング中のランナーとの会話もない味気ない運動だ。

運動の後は汗を拭いて、日向ぼっこなどを楽しむ。
俺は酒もタバコもやらない。
ミネラルウォーターを乾いた喉に流し込む。
食事は質素なもので充分だし、手の込んだものを食いたいとも思わない。

ただ、ひとつ問題があるとすれば性処理だろう。
年頃の肉体が発散する性欲は、如何ともし難いものがあるのだ。

霧の彼方−14

2002年11月7日
「こんにちは。お昼のニュースをお伝えします。
 昨夜10時頃、国道43号尼崎市内の交差点で人身事故がありました。
 
 オートバイを運転していた小岩井浩二さん24歳の男性が乗用車と接触。
 路面に叩きつけられた小岩井さんは頭部を強く打ち、
 病院に運ばれましたが間もなく息を引き取りました。
 
また、同刻の10時頃、名神高速道路下り線、茨木ランプ付近で
 橘 徹さん30歳の男性の運転する乗用車が、
 大型トラックに追突炎上。
 橘さんは即死状態でした。
 次のニュースです。。。」

    
       第5話 霧の彼方 完

霧の彼方−13

2002年11月6日
「どうしたんだよ。急にそんなことばかり言って。」
俺は不安な気持ちを隠しきれず、たぶん泣きそうな顔をしていただろう。

 「うん。徹が僕のこと好きでいてくれることは解ってた。
 でも、最後に確認しておきたかったんだ。」
「最後にってどういうことだよ!」
俺は、焦り気味に語気を強くした。

 「うん。ちょっとさ。どじっちゃったんだ。僕。ごめんね。」
「おい、待てよ。浩二。」
俺は信じられなかった。

そんなこと。だって。。。
俺は、今、名神高速道路を大阪に向かって走らせているのだ。
浩二と俺の誕生日を祝うため。
当然、浩二は俺の部屋にいるはず。
なのに、助手席に奴がいる。
何か、影の薄さを感じ、あり得ないシチュエーションに、
違和感を感じながらも、俺は夢を見ているような感覚で、
今まで浩二と会話していたのだ。

浩二の身体が透明になっていく。
浩二の身体を通して助手席のシートが見える。
「待てよ。浩二。待ってくれよ。」
 「ごめんね。さようなら。そして、ありがとう。」
「頼むから待ってくれ。浩二。」

浩二の身体は境界が曖昧になり、声だけが室内に響いた。
俺は呆然とハンドルを握りしめる。
霧の向こうに大型トラックの赤いテールがにじむ。
そして、急速に赤いにじみは大きくなる。

「それはないだろう。浩二。」

***

霧の彼方−12

2002年11月5日
どれくらい時間がたったのだろうか。

遠くで救急車のサイレンが聞こえる。
僕の周りには、人だかりができ、言い争う声が耳鳴りのように木霊する。
乗用車のドライバーらしいおばさんが僕の横で呆然と虚空を見つめている。

不思議と身体の痛みはない。
頭が割れるように痛い。
頭の上で象がダンスをしているように。

薄れる意識の中で、僕は徹の顔を思い出していた。
「ごめん。徹。どじっちゃった。。。」

***

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