「お疲れさまでした。柴田様。」
という声。

「え?」
俺が振り向くと、二人が並んで立っていた。
二人共服をきちんと着ている。
俺は怯えながら後ずさりする。

「ご心配ありません。
 柴田様のお召し物はリビングのソファにたたんであります。
 当然、お荷物も。
 如何でしたか?弊社ドリーム・ツアー・フォー・ゲイ・メン
 (DTGM)のツアー企画は。
 ご堪能頂けましたでしょうか?」
「はぁ?」
「柴田様のご希望に、弊社が少々脚色してお送りしました
 企画内容を気にいって頂けましたでしょうか?
 企画の中では、ご無礼を働いたこともありますが、
 企画を盛り上げるためですのでご容赦下さい。」
「そうか。そうだったのか。
 迫真の演技だったなぁ。」
「お気に召して頂いたようですね。
 かなりお楽しみのようでもありましたし。。。」
俺は思わず顔に朱が射すのを感じた。

「はは。俺淫乱だから。。。」
「いえ。そんなことはございません。
 私どもも役得と申しますか、柴田様の肉体を楽しませて
 頂きました。
 これは、本当のことなんですが、
 病み付きになりそうです。冗談ではなく。」
彼はにっこりと微笑んだ。
その微笑みの下に、いやらしくはないセクシーな色を滲ませて。

「ご用命頂ければ、違った企画をお届けできるかと存じます。
 また、お客様がツアー企画であると
 お気づきにならない設定で。」
「ありがとう。これであの値段は安かったよ。」
「そう言って頂ければ幸いです。
 これは帰りのチケットです。駅までお送り致します。」

白樺の疎林に秋の心地よい日差しが降り注いでいる。
青い空と白い白樺の幹。
もう少しすれば山は紅葉に燃え、
すぐに真っ白な雪景色を見せるのだろう。
信州の秋の風はとても冷たいが、
火照った身体に秋風が気持ちよかった。
近いうちに、またツアー企画を利用することになるのだろうな。

ドリームツアー(秋) 完

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