「ん。ん〜。」
熟睡してしまったようだ。
高窓から差し込む夕陽の赤い光が物語っている。
しかし、ここは一体どこなんだ。
部屋の中はほとんど真っ暗で、高窓から差し込む夕陽が唯一の明かりである。

ガチャリ。
身体の自由がきかない。
両手両脚ともに金属の感触がある。
さらに首にまで。
その上、素っ裸であることに、今更ながら気がつく。

「何なんだ。一体。」
手には手錠が、足には足枷が、首には首輪が、
そしてその首輪から鎖が伸びている。
外そうともがいてみても徒労の斧。
金属の固まりに勝てる訳もない。
そうやって、鎖をガチャガチャやっていると、
その音を聞きつけたのかドアが開いた。

「お目覚めかい?」
「どういうことだ?これは。」
「見ての通りさ。」
彼は平然と俺を見下ろす。
「何考えてんだ。さっさと外せよ。」
俺は、仁王立ちの彼を睨み付けた。
「どう暴れようが、叫ぼうが誰も来ないぜ。
 ここは、町からも、ペンション村からもかなり離れているからな。
 それに、改装中のペンションに来る奴はほとんどいないしな。
 その上、ここは地下室だ。」
「旅行代理店の店員が知ってるだろうが。彼は来るかもしれないぞ。
 早くこれを外せよ。」
「俺のこと呼んだかい?」

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