忍び寄る影−最終話

2004年8月23日
男の声が剛の頭の中を駆けめぐる。
どこかで聞いたような。。。

「まさか。まさか。。。義兄さん。」
「・・・・・」
「義兄さんなの?」
男は無言で剛の縄を解いた。
ライトが灯された。
明るすぎる光りに一瞬目をつぶったが、
照らし出された部屋の中央に仁王立ちになった男は確かに義兄だった。

「どうして。。。」
剛の名前や住所、メールアドレスを知っているのは当たり前だ。
実の姉の旦那である義兄ならば。
そして、この部屋の鍵を持っているのも。
月に一度、姉が部屋の掃除をしに来てくれるのだから。

「でも、どうして?」
「里沙に君を紹介された時から、ずっと気になっていた。
 半年程前に、君を堂山のバーで見かけた頃から計画を練っていたんだ。
 君の部屋の鍵をコピーして機会を窺っていた。
 何度か男を連れ込んでいるのも見かけた。
 それで、君が出かけている時、
 天井の火災感知器にマイクロカメラを仕掛け、盗撮をした。」
「そんな。。。でも、こんなひどいことするなんて。。。」
「すまない。ここまでする気はなかったんだが、コンビニに行かせた後で気が変わった。
 君の潤んだ目と勃起したあれを見てからね。
 黒いバンで後を追っていたのには気が付かなかったのかい?」
「そんな余裕あるわけないもの。」
「そうだな。。。ファミレスに行かせた後で確信したんだ。
 君がかなりのMだってことがね。
 ただ、君のケツを他人に掘らせる気にはなれなかった。。。
 そして、悩んだあげく、今日、無理矢理君をレイプしちまった。。。
 許してくれ。里沙に言うかい?」
「・・・・・」
姉の嘆く顔が浮かぶ。

「たぶん言わない。。。」
「どうして?」
「姉の嘆く顔を見たくないし、それに。。。」
「それに?」
「・・・・・それに、俺の中のもう一人を目覚めさせてくれたから。。。」
義兄は、安堵した笑顔を浮かべた。

「これからも抱くことは?」
「うんんん。。。いいよ。
 姉さんには申し訳ないけど、こんな興奮したの初めてだから。」
義兄と剛は、本当の兄弟になったのかもしれない。
「今度は、どんなことするの?」

義兄は天井を見上げ、
「来週の週末にメールする。俺の命令は絶対だからな。」
剛は、無言で頷いた。

忍び寄る影 完

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