忍び寄る影−5

2004年8月2日
男に命令されるままに、剛は小銭と携帯を持ち部屋を後にした。
さすがに、この格好でマンションのエレベーターに乗る勇気はなく、階段を駆け下りる。
深夜とは言っても都会の2時は、人影がまばらにあり、
暗い歩道を選んで俯き加減に、そして足早に歩く。

コンビニまでの15分が1時間にも思えるほど遠く感じる。
すれ違う人がハッと息を呑み、後方で振り返って見ているのを感じながら、
剛はひたすらコンビニに急ぐ。
コンビニの近くまでたどり着くと、目映いばかりの照明が辺りの歩道を照らし出していた。
近づく決心が衝かず、電信柱の影に身を潜めていると、突然携帯が鳴った。

「もしもし。」
「ナニヲシテイル?ハヤク、コンビニニ、ハイレ。」
「えっ?見えてるのか?」
辺りを見回してもそれらしい人影は確認できない。

「トウゼンダロウ。セイゲンジカンハ、3プンダ。
 ソレト、ミセニ、ハイッタラ、ショウヒンダナヲ、ユックリマワリ、
 10プンハ、テンナイヲ、ウロツケ。
 ソノアトデ、レイゾウコノ、イチバンシタノ、タナカラ、コーヒーヲ、トリダセ。
 ソレモ、シャガンデ、トリダスコトハ、ユルサナイ。
 アシヲマゲズニ、コシヲオッテ、ケツヲツキダシテナ。
 メイレイドオリニ、シナケレバ、ワカッテイルナ?」
それだけ伝えると通話は切れた。

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