権力の犬−12

2004年3月7日
暴れる武田巡査を押さえ込んで、腰のホルダーからニューナンブを引き抜いた。
その瞬間、武田巡査の抵抗は徒労と帰す。
額に光る汗と忙しない呼吸に比して、重く硬質な静寂が訪れる。

武田巡査は口を開け閉めしながら俺を睨みつけた。
俺は逡巡することなく、ニューナンブの安全装置を確かめ、
回転式ホルダーをスライドさせると収まった弾丸を全て掌に移した。

右手を横に振りホルダーを元の位置に戻す。
安全装置が掛かっているとしても暴発の危険性は拭えない。
全弾を抜き取ったことで安心したのか、武田巡査が恫喝してくる。

 「何を考えている?それに触れるな!」
俺は鼻で笑って無視した。

マジマジと警察の正式拳銃を眺め、銃身に舌を這わせた。
鈍色の鋼鉄の固まりは、突き刺すような堅い痺れを舌に与える。
血の味のような錆びた刺激が舌に広がった。
狂った人間を見るように武田巡査が俺を伺う。
俺はポケットの中からコンドームを取りだし、
わざとゆっくりとパッケージを開け、銃身に被せた。
そして、オイルを塗り広げ、武田巡査のケツに突きつける。
鉄の冷たい感触に、一瞬、武田巡査が震えるのを感じた。

「自分の銃に犯される気分はどうだ?」
俺は不敵な笑みを浮かべながら尋ねてみる。

 「止めろ!」
暴れる武田巡査の腰の上に馬乗りになって、ケツの割れ目に沿って銃を滑らせた。

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