白砂のあえぎ−12

2004年1月24日
辰巳が部室で汗を拭き、着替えていると結城が近づいてきた。
「あの。先輩。。。」
 「どうした?」
辰巳は快活に答える。
「忘れられないんです。あの。。。あの感覚が。。。」
辰巳は微笑みを返す。
 「どうだ?今夜、俺の部屋に来るか?」
「えっ?」
結城の顔に朱が差し、もじもじと俯いてしまった。

 「しかし、稽古中は神経を集中しないと困るな。
 何より危険だ。分かっているだろう?」
「はい。申し訳ありません。。。」
 「あの時のことを思い浮かべていたのか?」
辰巳は他の部員に聞こえないように結城の耳元で囁いた。
辰巳を見つめる結城の目が潤んでいるように見えた。
嫌らしくないように気を遣いながら辰巳は微笑んで見せた。
つられたように結城も微笑む。

 「さっさと着替えろ。風邪を引くぞ。」
結城は嬉しそうにロッカー前に戻ると着替え始めた。
辰巳の胸では心臓が踊っている。
こんなに早くチャンスが来るとは。。。
案外乗り気かもしれないと想像する辰巳であった。

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