白砂のあえぎ−2

2004年1月14日
「稽古の邪魔をしちゃ悪いから俺は退散するよ。
 頑張ってな。」
 「ありがとうございます。よかったら稽古つけて下さい。先輩。」
「いや。特に文句を付けるところはないよ。
 射法八節に基づいた見事なものだ。
 何より射姿が美しい。完成されたものに近いな。」

結城は少し赤くなりながら照れて見せる。
先程の凛とした厳しい表情が崩れ、あどけない童顔の顔がほころんだ。
辰巳は逆に照れを感じながら、気恥ずかしくなって的の方を向いた。
ほころんだ結城の口元が艶めかしく、可愛い口元を犯している自分を想像してしまった。
知らず知らずの内に、股間が充血するを感じる。
結城は弓を弓置きに立てかけ、袴を右手で叩いて正座した。

背筋を伸ばし、辰巳を見上げる。
その位置関係がちょうど口の位置に当たると考えに及び、
顔が赤らみそうになる辰巳だった。
心臓の鼓動が結城に聞こえるのではないかと心配して、
落ち着かず弦を張っていない自分の弓を指で触ってごまかす。
結城に見つめられると落ち着かない自分を発見して、
精一杯先輩の威厳を保ちながら結城を見下ろす。

 「稽古を続けてくれ。俺は帰るから。」
結城の視線を背中に感じながら、辰巳は射場を後にした。

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