溺れる魚−48

2004年1月10日
満足そうにそれらを眺め、一樹さんは立ち上がった。
俺の目の前に屈み込み、ジッと眺めた。
俺の目は涙目になっているが、一樹さんを見つめ返す。

 「良い目をしているな。本当に俺のものになるか?」
俺は黙って頷いた。
 「こんな目に合わされても俺のものになるのか?」
俺は一樹さんの目を見つめながら頷いた。

一樹さんは、火の入った暖炉へと向かう。
そして、暖炉から一本の鉄棒を引きずり出した。
真っ赤に焼けた鉄のコテだ。
先にはなにやら紋章が入っている。
俺の側まで来た一樹さんが俺の肩にコテを近づける。
それだけで、真っ赤に焼かれた鉄コテの熱気が伝わってくる。

俺は奥歯を痛いくらい食いしばった。
強烈な熱さ、いや痛みが肩の筋肉に走る。
ジュッと肉の焼ける音と、嫌な臭いがした。
鞭や蝋燭の痛みなど話にならない壮絶な痛みだ。

俺の全身は猛烈な痛みに痙攣するように震えた。
それでも俺はうめき声を漏らすまいと必死に奥歯を噛みしめた。
男達の感心したような声が漏れた。

 「それが印だ。俊幸が俺のものだという。」
男達は、鞭と蝋燭を置くと、部屋を出て行った。

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