溺れる魚−43

2004年1月5日
案内された部屋は、南向きの明るい部屋で、一流ホテルのスイートルーム並みだ。
ベッドルームにリビング、トイレ、バスルームまである。
客用の部屋かな?なんて暢気に考えていると、
主人らしい若い男が、ノックとともに登場する。

 「やぁ。すっきりしたかい?」
先程までとは異なるさわやかな笑顔で俊幸に語りかける。
「はい。ありがとうございます。」
 「ここは、君の部屋だから自由に使っていいよ。
 まぁ、しばらくは、外に出す訳にいかないけど、
 信頼関係ができれば、その内、自由にしてあげるからさ。」

部屋の窓には青空が拡がっていた。
リビングのソファにゆったりと腰掛けると、俊幸にも横に座るように促す。
俊幸は、意を解して、バスローブを滑り落とすと、素っ裸で横に座った。
男はただ、微笑むだけだ。

「あの。俺、どうしたらいいですか?」
どうしていいか分からない俊幸は問うしかない。
 「今は何もしなくていいよ。バスローブを着なさい。」
俊幸は首を傾げながらバスローブを再び羽織った。
 「俺の名前は一樹。」
「はい。一樹様。」
 「あはは。様はよけいだよ。せめて、一樹さんにしてくれない?」
「はっはい。一樹さん。」
一樹は、俊幸の首に腕をまわし引き寄せた。

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