溺れる魚−40

2004年1月2日
競り値は460万円、470万円と小刻みに増えていく。
ただし、40代の男と50代の男の一騎打ちとなった。
さすがに20代の男には手の出る金額ではないということか。
そして、700万円を超える辺りから競り値の動きが鈍くなる。
今現在、最高値740万円をつけているのは50代の男だ。
その男がにやりと笑い、俊幸が自分のものになったと安心したき、20代の男が動いた。

一声800万円。
場内は静まりかえり、さすがの男達も顔を引きつらせ、俯いてしまった。
落札金額は800万円。俊幸は20代の男のものとなった。

20代の男が客席の後ろを振り向くと、全身黒ずくめの大男2人が駆け寄る。
それぞれの手には黒いアタッシュケースが握りしめられている。

司会の幕引きで競り市は終了し、会場の男達はステージを振り返りながら退場していく。
俊幸は控え室で待たされることになる。
競り落とした男達は別室に案内される。
責任者らしい男と博士も一緒だ。
別室に案内され、ソファに20代の男が腰を下ろすと、
黒服の男達がテーブルの上にアタッシュケースを置いた。
競りは現金売買が条件だったのだ。
拡げられたアタッシュケースには、帯付きの一万円札がぎっしり詰まっていた。

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