溺れる魚−8

2003年11月30日
 「徐々にスピードが上がるから合わせてくれ。」
ベルトの動きがスピードアップする。
俺は歩行からランニングに切り替える。
5分後にさらにスピードが上がり、
最終的にはトップスピードに近い全力疾走となる。
20分間のセットを終了し、10分間の休憩。
3セットを終了した時点で、俺は汗びっしょりになっていた。

 「じゃぁ。30分の休憩をしよう。
 次は、薬品を投与して同じ実験を3セット行うからね。」
俺は椅子に座って汗を拭いていた。
30分経って脈拍が安定した段階で、助手が筋肉注射をした。

 「効き始めるのは30分後だ。ゆったりと身体を休めたまえ。
 その間、正面のスクリーンを見るんだ。」
助手がキーボードを叩くと、スクリーンの映像が草原から変化した。
電車からの眺め、居眠りする猫、疾駆するヨット、
東京タワーのイルミネーション、女性の裸、マグロの大群、
蟻の行列、風に舞う桜の花びら、ペニスのアップ、彷徨うラクダ、
何の関連もない映像が短時間で切り替わる。

目まぐるしく変わる映像をじっと見ていると、
身体がフワフワしてくる。
薬が効いてきたのかも知れない。

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