溺れる魚−4

2003年11月26日
 「シモン、テソウ ノ ショウゴウ ヲ カンリョウ シマシタ。
 セイサンギジュツカ ノ サワイ シュニン デスネ。
 セイモン テスト ヲ オコナイマス。
 ブショ シメイ ヲ ドウゾ。」
女性のマシンボイスが、声紋テストを促す。

「生産技術課の沢井だ。」
 「カクニン シマシタ。ニュウシツ ヲ キョカ シマス。」
同時にドアのロックが解除された。
何とも厳重なセキュリティだ。

部屋の中は近未来の研究室のようだった。
天井全面が光り輝き、部屋には影が存在しない。
中央には何かよく分からない機械が据えられている。
少し離れた場所にモニターが並ぶ制御ブースがあった。
金属とガラスが織りなす前衛的なデザインの研究室。

俺は度肝を抜かれて立ちすくんでいた。
制御ブースには研究者らしい白衣を着た男が2人立っていた。
ふと振り向くとドアの横には屈強な警備員2人が直立不動で立っている。
沢井さんが白衣の男にファイルバインダーを手渡した。

「彼が蒲田俊幸君です。後はよろしくお願いします。」
何事かを小声で話し、沢井さんが俺に近づいてきた。

「何も心配することはありませんよ。気楽にして下さい。
 詳しいことは、桐林博士から聞いて下さい。
 私はこれで。アルバイト終了後に迎えに上がります。」
彼は軽く会釈をすると、ドアに消えてしまった。

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