入国審査をすませ到着ゲートを潜ると、現地の案内スタッフが待ちかまえていた。
そのままバスに乗せられホテルに直行する。

ホテルは九龍地区の真ん中にそびえる高層ホテルで
英国好みのエキゾチックなものだった。
ふかふかで極彩色の絨毯が敷き詰められたロビーは、
3階までの吹き抜けになっており、
正面には地上から天井まで達するタペストリーが飾られている。
天井の中央から巨大なクリスタルのシャンデリアがぶら下がっていて、
虹色の輝きを撒き散らしている。
フロントマンは訛のない綺麗なロイヤルイングリッシュと微笑みで歓迎を演じた。

鍵を受け取り部屋に向かおうとしたとき、
タキシードやイブニングドレスで決めた上品な若者達がエレベーターから吐き出された。
ハイソなパーティーでもあったらしい。
若いにもかかわらず、それらを見事に着こなした中国系の若者達が
異国の言葉で会話を交わしている。

俺は彼らの間をすり抜けるようにエレベーターに乗り25階のボタンを押した。
カードキーを受け口に差し込むと、緑色のランプが点灯し開錠を知らせる。
部屋の明かりを点けようとして思いとどまり窓辺に向かった。
正面には香港島の夜景が広がっていた。
漆黒の闇に超高層ビル群の明かりが瞬き、
繊細でいて力強い光の洪水が視界一杯に展開する。
荷物を置くことも上着を脱ぐことも忘れて百万ドルの夜景に魂を奪われていた。

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