Missing Link−55

2003年8月14日
一通りのことを思い出してしまうと、
俺の身体は怒りに震え、自分自身を制御できなくなってしまった。
たぶん、同じようなことを暁にもしていたに違いない。
薬をケツの粘膜に擦り込み、性の奴隷に落としては弄んでいたのだ。
おそらく、犠牲者は俺達だけではないだろう。
俺は覚悟を決めて、リビングに置いてあるシガレットケースを開ける。

案の定、そこには、白い粉末が仕込まれていた。
俺は、右手の指を湿らせると、全ての指にその白い粉をなすりつけた。
そして、ベッドルームへと向かう。
安らかな寝息をたてて男が眠っている。都合が良いことに、男は俯せで眠っていた。

俺は、男が目を覚まさないように静かに布団をめくると、
男のケツの穴に右手の指を突き立て、薬を擦り付けた。
男は何が起こっているのか分からず抵抗すらできないでいる。

全てを男のケツに塗りたくると、俺は指を抜いた。
男が仰向けになり、目を剥いて、俺を睨みつけた。
しかし、もう手遅れだ。
直腸の粘膜に吸収された大量の薬は、血液に溶け込み全身をめぐる。
男の全身が痙攣を始める。仰け反り、白目を剥き、口からは泡を吹いている。

暁と俺の恨みを思い知るがいい。
そして、地獄に突き落とされた多くの若者達の無念を。
それら悪行の報いを受けるときが来たのだ。

動かなくなった男に、布団をかぶせると、俺は携帯を探した。
携帯の発信メモリーから、暁が連れ去れたであろう場所の番号に発信する。

 「はい。Erth Holeです。」
「ああ。俺だ。伊達だが。」
 「これは、伊達さん。昨日は上物を都合頂きありがとうございました。
 大した雌犬でして、大好評でさ。今日は何か?」
「ああ。もう一匹も引き取って欲しいのだが。」
 「それは、それは。喜んで。暁以上の上物ですな。」
「そうとも。充分仕込んである。すぐにでも引き取りに来てくれるか?」
 「もちろん。伺います。
 ところで、声がいつもと違うようですが、どうかされましたか?」
「いや。少々風邪気味でね。
 俺は、休んでいるから、勝手に秀幸を連れて行ってくれ。
 オートロックの解除キーは知っているだろう?部屋の鍵も開けておく。
 挨拶はいい。金はいつもの通り、テーブルにでも置いてくれ。」
 「招致しやした。すぐ伺います。」

これでいい。俺は、暁と同じように裸にバスローブだけを羽織って、
リビングで待つことにした。

***

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