Missing Link−8

2003年6月28日
「ごちそうさま。」
 「お粗末様でした。」
暁の手料理を平らげ一服する。
本当にこいつは可愛い奴だ。
いつも憎まれ口ばかり叩いているが、
俺はこいつに感謝してるし、身体ともに愛している。

こいつをスポーツクラブで見かけるようになったのは、
1年ほど前のことだった。
そして、いつしか会えるのを楽しみにしている自分に気が付いた。
暁は、明るく社交性があり、周りにはいつも多くの笑顔があった。
俺は、人付き合いが悪く、クラブでも黙々とトレーニングに励むような奴だった。
しかし、暁は俺にさえ、人なつっこい笑顔を浮かべながら話しかけてくるのだった。

俺が今以上に無愛想に答えても、
 「ねぇねぇ加藤さん。聞いて下さいよぉ。」
なんて、次々と話題を提供した。
そして、いつの間にか、こいつとだけは会話を楽しんでいる俺がいた。
半年ほどたったある日、偶然の帰り際を装い、暁に声をかけた。

「島津くん。この後予定あるかい?」
 「え?ないっすよぉ。」
「なら、どうだい?俺の部屋ででも。」
そう言いながら、俺は口元で酒を空ける恰好をした。

 「加藤さん家で、御馳走してくれるんすか?
 行く行く。絶対行くぅ。」
そう言って、暁はピョコピョコ跳ねた。

***

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