新入社員の憂鬱−57

2003年4月17日
「ええ。貴方が俺の父親だと知ったのは偶然だった。
 母が大切にしていた手帳に写真が1枚挟んであった。
 母と貴方が微笑みあってる写真だった。
 どんなに問いただしても貴方のことは何一つ教えてくれなかった。
 そして、大学生時代に目にした写真週刊誌で貴方をみつけた。
 インタビュー記事だった。」

 「そうか。美奈子は子供を身ごもったことも私には隠していた。
 しかし、いなくなる直前の様子から私は気付いていたんだよ。
 だからこそ、必死に探したんだ。君と美奈子を。」

「母は去年なくなりました。」
社長の目が見開かれる。
そして、深い溜息を漏らした。

 「そうか。美奈子には何一つ報いてやれなかった。」
「母は幸せだったんですね?
 母が言ってたように、本当に恨んでなんかいなかったんですね?」
 「私は本気で彼女を愛していた。
 身勝手な話だが美奈子を妾として扱ったことは一度もない。」
「そうですか。
 俺はそれを確かめたかった。
 突然会いに行っても面会できる訳もなく、
 チャンスを得るためにこの会社に入社したんです。
 もし、母が言ってることと違うなら復讐するつもりだった。」
 「そうだろうな。。。」

今や2人のマラは勢いをなくしている。

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