新入社員の憂鬱−28

2003年3月19日
 「高橋君。」
「はい。」
課長に呼ばれ俺は喜々として、まるで尻尾を振って駆け寄る飼い犬のように駆け寄った。

 「これに関するレポートを明日中に仕上げてくれ。」
それだけを伝えると課長は別の書類に目を通し始めた。
俺はがっくり肩を落とし、尻尾を股の間に挟み込んですごすごと席に戻った。

先日目を通した新しいプロジェクトの人員配置計画に対するレポートだ。
レポートを前にして席に着き、課長の方を見たとき、
課長が意味ありげなニヤリとした視線を投げかけた。
俺は内心ドキドキしながらレポートの表紙をめくった。
案の定、レポートの中身は表紙と全く関係ない内容だった。
それは信じ難い内容だった。

<特別社内外秘密事項 Top Secret>
   コード:XXX
   ネーム:ラウンジ
   対 象:重役および特AクラスのVIP
   期 間:無期限
   要 員:容姿端麗、頭脳明晰、筋骨隆々の新入社員5名(原則20代)
   要 旨:重役およびVIPに供するM奴隷を育成
   内 容:
    本プロジェクトは、社長を始めとする重役および社内外特AクラスのVIP
   に対し、あらゆるサービスを供するためにM奴隷の育成を目的とする。
   飽食を尽くしたVIPに至高の満足を頂くため、口舌奉仕、精飲、黄金プレ
   イ、A責め、P責め、緊縛、吊り、剃毛、鞭、蝋燭、ピアス、スパンキング、
   考えられるあらゆる陵辱に耐えうる容姿端麗、頭脳明晰、筋骨隆々の青年
   を5名調教し、以てサービスに供する。
   本プロジェクトは我が社における特プロとして全てのプロジェクト、業務に
   優先する。
   本プロジェクトの優位性については、我が社50有余年の歴史において既に
   証明済みであり、特に社外特AクラスのVIPからの要望が高く、結果として
   の受注業務の実績は甚大である。
   本プロジェクトに関与する全社員は、誇りを持って業務を全うすること。
   将来我が社の基幹要員として重要なポストを保証するのは言うまでもない。
   以上

俺は、この簡潔なレポートに目を通し、
課長が影の実力者と呼ばれる所以が理解できた気がした。
社長肝いりのプロジェクトとはこれだったのだ。
そして、これを見せられるということは俺も5名の要員の1人であるということだ。
我が社における馬鹿らしくも重要な特プロを知り、
課長の責めを待ち望んでいた自分自身が哀れで憂鬱になった。

***

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