怪しく光る瞳−1

2002年12月22日
風がさわやかだ。
満開の桜の花と意気揚々と通りを歩く若者達。
俺も今日から大学生なんだ。
なんともこそばゆい感覚に浮かれながら
目にするもの全てが新しい
生まれたばかりの子犬のように
キョロキョロしながら正門をくぐる。
受験戦争をくぐり抜け、春の雪解けとともに、
長い間封印していた思いが一気にあふれ出す。
クラブは入ろう、おしゃれもしたいし、
バイトに、旅行に、そして恋。。。

「サッカー部です〜。入部しませんか〜?」
「テニスサークルで大学生活をエンジョイしようぜ。」
「落研でーす。新入生歓迎寄席やってまっせー。」
クラブやサークルの新入生勧誘がすごい。
なかなか前に進めない。
「剣道部です。いかがですか? おお?」
「あれ?先輩。」
「なんだ太じゃないか。うちの大学合格したのか?」
「ハイ。無事入れました。」
「当然、剣道部だろ?」
「え?クラブですか?」
「決まってるだろ?入るよな。」
「ハイ。そのつもりです。」
「お一人様ご案内ぃ〜。」
人の気も知らないで。
どうして俺がこの大学に入ったのか解ってんの。
先輩と一緒の大学に通いたかったから。
また、一緒にクラブで先輩と稽古がしたかったから。
俺はここに来たんだよ。
俺は心持ち顔を赤らめながら、
そう心でつぶやいた。

***

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